HAKKAPELIITTA R3も○ですね | 株式会社ABE MOTORS

高橋二朗(タカハシ ジロウ)

モータースポーツジャーナリスト。
GIRO Co., Ltd.代表 日本モータースポーツ記者会会長 NPO法人日本モータースポーツ推進機構理事。
国内外のモータースポーツイベントを取材、各誌に寄稿、発表。1983年よりルマン24時間レースを取材。
1989年にインディ500マイルレースで東洋人初のピットリポーターとして現地から衛生中継。
BS放送 J SPORTSのSUPER GT、SUPER FORMULA他シリーズのピットリポーター、解説。
SUPER GTトークバラエティ番組【GTV】のメインMC。

HAKKAPELIITTA R3も○ですね

弥生三月。

先日、桜の開花予報も出ました。

と、いうタイミングでわがciccio quattroにスタッドレスウインタータイヤを装着してテスト走行のエッセイをお届けです。ウインタータイヤのインプレッションであれば、シーズン前に行うのが普通でしょうが、プロモーションというより、i3とタイヤという組み合わせのお話なのでご容赦ください。このエッセイをお読みいただいている方はご存知でしょう。JIRO’S essay 10で阿部商会さんのnokianタイヤ、NOKIAN HAKKA GREEN 2をフィットして、インプレッションしていまして、これがとても良かった。ラインオフで装着されていたB社ECOPIAのちょっと不満に思えていた点が補われたのです、はい。i3とのマッチングに満足しています。

GREEN 2に履き替施工をしていただいているときに、阿部商会のタイヤ担当のIさんから「是非スタッドレスも・・」とオッファーされていました。

「このサイズのスタッドレスがあるんですか?」

「あるのです」とIさんはニコリ。

そして2月になってHAKKAPELIITTA (ハッカペリッタ)R3にチェンジオーバー。往年のモータースポーツファンやベテランの方はハッカペリッタのネーミングを聞いて【おお、懐かしい】ということでしょう。まだスタッドを打ち込んだスパイクタイヤの時代からフィンランド製のウインタータイヤは、その優秀性を発揮していた。まだ、未成年時代に読んでいたモータースポーツ誌に登場したハッカペリッタのことを覚えています。未成年が初老になってハッカペリッタを履くとは・・・。冬は酷寒の地、フィンランドで開発されているのですから。まして、同社のアンバサダー&開発ドライバーの一人であるミカ・ハッキネン氏とは旧知の仲(とボクは一方的に思っています)なのですから。

さて、テスト走行は、軽井沢で。

冬の軽井沢は、1980年代から全日本ラリー選手権開幕戦、DCCSウインターラリーの取材に訪れていた地。軽井沢までは東京~関越自動車道~上信越道。高速道路は完全にドライ。そして碓氷軽井沢インターで降りると、ようやく道路に雪が。軽井沢の街中と浅間山の麓周辺を走行。往復の走行距離は、約400キロ。ドライ320キロ。スノー&シャーベット、ウエット80キロ。

ドライ:

GREEN2と同じようなキャラクターであるというのが全体的な印象。当たりが柔くて、乗り心地が良かったです。少し強引にレーンチェンジしてみたけれど、ブロック、サイドウォールのヨレ感もなくてしっかりしていました。舵角を長い時間当てっぱなしにするようなインターチェンジの出入り口などでは絶対的なグリップは、GREEN2に劣るけれど、不安感を抱くようなレベルではなかったです。センターブロックに左右対称のサイピング。また3Dロックサイピングというブロック同士を支える設計になっているのでスタビリティが保たれているらしい。そして、トレッドパターンを最初に見た印象でノイズのレベルが高いのではと思っていたら、それが、<私の認識が甘かったです>と頭を深く下げるほどの静かさ。これもGREEN2と同じレベル。荒いアスファルト路面では少しノイズが高まる。これはブロック配列のせいかなと思います。そして、驚くべき点としては、HAKKAPELIITTA R3転がり抵抗が欧州ラベルのトップグレードである『A』を取得しているという点。

 

スノー:

できるだけ多く、異なる路面でHAKKAPELIITTA R3を走らせたくて、旧軽井沢の別荘地周辺、北軽井沢、浅間・白根さわやか街道、白糸ハイランドウエイを走破。SNOWの性能、印象もドライとほぼ同じような安定した安心感の高いタイヤであることがわかりました。そして、EVの回生ブレーキとのマッチングも良く、減速やフートブレーキングでも全く不安感のないレベル。トレッドパターンは、トレンド的な刃の形。このタイプのスノータイヤを履いたことはなかったのですが、このパターンは良い。スタッドレスタイヤは、タイヤの回転と共にグルーブやサイプに雪を詰め込み、回転でその踏み固めた雪を折る『雪柱剪断性能』『歯車効果』でグリップする。その性能がかなり高い。そのために20cmくらいの積雪でも問題なく走行できた。また、詰まった雪の掻き出しも良くて、グリップが低下することは無かった。GREEN2と同じように溝の深さを示すセイフティインジケーターもトレッドにあるのも助かる。

 

シャーベット:

DCCSウインターラリーで上り、下りのSSが行われた白糸ハイランドウエイは、シャーベット状の路面がほとんど。浅間山の麓から下りのみを走行。ドライ、スノーと同じく、安定して安全な走行は変わらず。途中ウエット路面もあり。そこで思い出しました。阿部商会のIさんが「ウエット性能は『E』です」と言っていた。そこで敢えて減速を何度もしてみた。回生ブレーキでの減速ではウエット性能が劣る感じはなかった。これはEVと特有の現象なのか。フットブレーキで一気に減速しても<滑る/制動距離が長い>という感覚は覚えませんでしたね。

 

アイス:

今回は、アイスバーンの走行はトライできなかった。凍結路面で確実なグリップを実現するためには、氷面とトレッドの間にある水をいかに処理するかで性能が分かれる。いろいろなメーカーがトレッド内に気泡を設けて水を吸い取ったりと苦労していた。HAKKAPELIITTA R3はトレッド中央部にポンプ効果のあるサイプを配列しているという。その効果は、実際にはテストできなかった。また、トレッドコンパウンド内にクライオ・クリスタル3という高強度の多角形粒子を練り込んでいて、氷を引っ掻く効果があるらしいけれど、これもテストできず、残念。 おわり

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