ciccio、さすがです | 株式会社ABE MOTORS

高橋二朗(タカハシ ジロウ)

モータースポーツジャーナリスト。
GIRO Co., Ltd.代表 日本モータースポーツ記者会会長 NPO法人日本モータースポーツ推進機構理事。
国内外のモータースポーツイベントを取材、各誌に寄稿、発表。1983年よりルマン24時間レースを取材。
1989年にインディ500マイルレースで東洋人初のピットリポーターとして現地から衛生中継。
BS放送 J SPORTSのSUPER GT、SUPER FORMULA他シリーズのピットリポーター、解説。
SUPER GTトークバラエティ番組【GTV】のメインMC。

ciccio、さすがです

先日、阿部商会さんにお仕事をいただき、久しぶりに東京都千代田区神田美土代町の本社におじゃましました。近年販売を強化しているnokianタイヤのリモート商品発表会の中で同社のタイヤ開発に関わっている元F1チャンピオンのミカ・ハッキネン氏とのトークショーを展開させていただきました。その模様は、阿部商会さんのHPにyoutubeがアップされています。ご興味があったらどうぞご覧ください。

本社の1Fのショールームに特設スタジオを設て、モナコのハッキネン氏とあれやこれやと話しました。今更ですが、日本とモナコでモニターを見つつ簡単にやり取りができる。約35年前に海外とビデオコンファレンスをするためには、大手町の国際電電公社(KDD)まで出向いて回線を開けてもらい、30分間で10万円くらいかかった・・・。

トークショーの前にパーテーションの後ろで打ち合わせをしていると、どこからか聞き覚えのある声がしてきました。そう、それは阿部商会の二代目社長、阿部辰郎さんの声。ご挨拶しようとパーテーションから出ると、そこには現、三代目社長の阿部文保さんが。「やあ、どうも。宜しくお願いしますね」「今回お呼びいただき、ありがとうございます。でも社長、辰郎さんと声がそっくりですね。パーテーションの後ろで聞いていて、てっきり辰郎さんだとばかり思っていました。やっぱり親子ですね」「そうかな。毎日顔つき合わせていると、全く感じないなぁ。親父は、いまや孫の世話係ですよ(笑)。」声だけでなく喋り方、言葉の選び方もそっくり。いやー、ビックリしました。

それでは、i3=ciccioの話に入ります。

日本自動車連盟(JAF)の会報誌、 JAF Mateの5月号の名物コラム、松任谷正隆さんの「車のある風景 vol.33 バージョンアップ」で氏のEVについて書いておられる。車名は書いていないけれど、明らかに【T】であることが明白。EV素人、初心者のボクにとっては、とても勉強になったし、ciccioとは異なるコンセプトのEVであることが分かった。以前この小欄でEVがこれまでの生活様式まで変える存在であることを書きましたが、松任谷さんは、それをドライバー、人間の「バージョンアップ」と表現していますね。T車が通信でコンピュータみたいにバージョンアップすると聞くと「へーっ」と思いますけれど、向こうは向こう、こっちは、こっちだと、なにやら対抗意識を持ち始めてしまいました。

そこで調べました。

敵!?失礼。

向こう様をT車だけでなく日本のN社のL車も加えてみました。

 

車種                電力量        最高出力       最高トルク

i3=ciccio  42.2kWh  125kW   250Nm

T車モデル3  55kWh       211kW          350Nm

L車e+G       62kWh       160kW        340Nm

 

以上のように主な諸元を示してみました。この数字だけを見ると、なにやらciccioが劣勢。しかし、しかしですよ、次の諸元をご覧あれ。

 

車重

i3=ciccio   1,440kg(レンジエクステンダー装備)

T車モデル3    1,611kg

L車e+G           1,680kg

これです。これ。ciccioは、L車に比べて240kgも軽い。T車からも171kg軽い。200kgとは、ドラム缶に水をいっぱい入れた時の重さ。どれだけ重いかわかりますよね。昔から山椒は小粒でピリリと辛いというではありませんか。これこそBMWが既存の概念にとらわれない全く新しいEVというクルマを創造した結果なのです。電力量と出力、トルクを大きくしたければ、多くの電池を積めば良い。そうすれば重くなる。当然です。こんなこと小学生でもわかります。そこでBMWは、考えたのです(と推測します)。電池の重さを抑えてなおかつクルマ全体も軽くする。それがカーボンボディーなのです。アルミシャシーに電池とモーターを積み、その上に軽量&高剛性のカーボンボディーが乗っかっている。まるでレーシングカーと同じコンセプト。ドアを開ければ、そこには黒くひかるドライカーボン!軽いから、フロント155、リヤ175というナロートレッドのタイヤでもしっかりとクオリティの高いドライビングを制御ディバイスと共に実現している。ブリヂストン社製の専用エコタイヤは接地面の転がり抵抗と空気抵抗も少なくしているのです。よね・・・。ドライ&ウエット路面でも、ワイドトレッドタイヤ以上の安定性を示してくれます。この軽さ。オーナーのノリも軽いので最高にマッチしています。

ということで、天気が良かったので、ciccioは、ウチにきてから初めて洗車することにしました。実に4ヶ月で初めての洗車です。空気抵抗もよいので雨の日でも特に汚れないのですが、黄砂の汚れはどうにもならず、さっぱりしてもらいました。

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